悲願達成

山本昌200勝、趣味の無線操縦カー断ち悲願達成2008年8月4日23時8

悲願の達成のため、好きなものを我慢する「断ち物」にはいろいろな種類があるが、中日の山本昌投手の場合は、趣味の域を超えるとまで言われた無線操縦自動車を断って、今季にかけていた。
 「国内で十指に入る腕前」。名古屋市港区の無線操縦装置店「ラジコン天国」名古屋店の祖父江好高店長(47)は、山本投手をそう評する。
 95年に左ひざを手術した時の暇つぶしに始めたが、今もスーパーカーを数台所有するだけあってすぐにはまった。

 野球で鍛えた運動神経と動体視力、うまい人をまねる器用さを生かして上達。同僚の山崎武司選手(39=現楽天)と「山山杯」と名付けた大会を開き、愛知県美和町のメーカー「ミワホビー」に独自モデル「YM34」を開発してもらうまでに至った。

 野球にも通じたという。「上手な人ほど記録ノートを細かくつけるようなところを見習えば、もっとうまくなるんじゃないか」と体調管理や投球動作の改善に生かした。
 山本投手のマシンを整備しているラジコン天国の高松守さん(39)は「マサさんの要求はすごく細かくて真剣。『勝負の時は緊張感がないと勝てない。足が震えるくらいでないといけない』と聞かされたこともあります」。
 昨年はラジコン天国の月例会で4勝したが、今年1月の月例会で優勝したのを最後に操縦機を置き、その分のエネルギーを野球につぎ込み、大目標をかなえた。「新しいマシンも用意してもらっているので、(サーキット場に)顔を出すかもしれません」。快挙達成後の記者会見で、子供っぽい笑顔がにじんだ。
 楽天・山崎選手は「あの人は家族の次にラジコンを愛していた。これで心おきなくできるんじゃないの」と話した。(渡辺崇)