流した汗は裏切らない

債務超過企業でありながら、持ちこたえていたのはなぜ?」

 これはキャッシュを潤沢にもっていたからであり、キャッシュを取り崩
すことで生きながらえていたからである。
 この綱渡りの資金繰りを如実に示すが「経常収支」である。
 経常収支とは短期的な資金の動きを示すものであり、運転資金のような
短期的な資金繰りを見ることができる。
 当該企業の経常収支は毎期、黒字と赤字を交互に発生させており、この
時点でも不安定な資金繰り状況を推測することができるが、借入金返済額
まで加味すれば、恒常的にキャッシュの流出が続いていることがわかる。
 そして、保有するキャッシュによって、この尻拭いをすることになるの
だが、その帳尻が黒字である間は問題ない。しかし、赤字となった瞬間、
きわめて破綻が近いことになるのだ。
 実際、当該企業は赤字で資金流出が続いていても、帳尻は黒字となって
いたのだから、まだ生き延びられることがわかる。
 だが、破綻直前期には帳尻が赤字となってしまっており、翌期において
破綻の可能性が一気に高まっていたのだ。

内藤 ○